元祖ケルティック・クロスの立つ修道院跡、モナスターボイス
【華麗なケルティック・クロスのルーツ、アイルランドのハイクロス】
ジュエリーのモチーフの中でも、常に不動の位置を占めている十字架。ゴシック様式の装飾的なものからエジプトにルーツを持つもの、すっきりシンプルモダンなものまで、宗教に関係なくファッションとしての人気が定着していますね。その中でも個性の際立つ美しい形をしたケルティック・クロスをご存知の方は多いと思います。普通の十字架に太陽を象徴する輪を組み合わせたケルティック・クロスは、その名の通り、アイルランドやスコットランドなどに住んでいたケルト人達が、初期キリスト教の時代に作り上げた様式で、これらの国々には、そのルーツとなったハイクロスと呼ばれるモニュメント的な十字架がたくさん残っています。
【ダブリン最寄の重要なケルト十字架、モナスターボイスのハイクロス】
ダブリン州の北へ向かう事50キロほど、ボイン川の流れるミース州と、お隣のラオス州の界隈は、ニューグレンジやタラの丘など、歴史の重要スポットが点在している地域ですが、モナスターボイスのハイクロスもそんな中のひとつです。モナスターボイスは、初期キリスト教の修道院跡で、ここにはアイルランドに残るたくさんのハイクロスの中でも、最も装飾的で複雑な模様を持つといわれるハイクロスがそびえ立っています。
ハイクロスが後世の墓石としてのケルティック・クロスとは一線を画した存在なのは、難しい説明を聞くよりも、実物を一目見ればすぐに理解できることでしょう。何より物凄い存在感なのです。アイルランドのハイクロスは、背高で無骨で、決してバランスのよいスマートな姿をしていません。そして、正面に限らず側面や背面までもが、びっしりと細かい装飾で埋め尽くされているのです。十字架の中心にあるキリスト像の下には、12人の弟子たちの姿や、聖書の重要場面などがくっきりと浮き彫りで描かれ、その周囲もまた、細かい模様で隙間なく埋められています。ケルトの組み紐模様や幾何学的な模様の浮き彫りは、ぼってりと重く暖かなアランセーターを思わせて、彫り手の手作り感たっぷりの素朴さ。読み書きのできない人々に聖書の教えを説くために用いられたともいわれるハイクロスは、貧しい農民たちにとっての聖書だったのかもしれませんね。
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