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アイルランドに多数残る鉛筆形の塔、ラウンドタワーの用途とは?


【バイキングの度重なる襲来が育てた独特な建造物、ラウンドタワー】
アイルランド各地に残る修道院や教会の遺跡の中で、ハイクロスと並んで独特なのは、ラウンドタワーと呼ばれるシンプルな円筒形の塔でしょう。窓もほとんど無いのっぺりとした塔で、てっぺんはちょうど削った鉛筆のようにとがった形をしています。完全な形のものや、崩れてしまっているものなど様々ですが、興味深いのはその用途。普通、教会で塔といえば、鐘の釣り下がった鐘楼が天を指す姿を想像しますが、アイルランドの初期キリスト教遺跡では、塔はもっと切羽詰った現実的な理由で建てられてた物なのです。

アイルランドにキリスト教が伝えられ、広まっていった中世の時代、修道院や教会は、宗教だけでなく学問や文化の中心でもあり、アイルランドの東海岸には、当時はヨーロッパでも有数の盛況を誇っていた修道院跡が点在しています。大陸から学問を学ぶために多くの人々が訪れていたというこれらの施設は、きっと活気に溢れ、学問や文化と共に豊かな富をも蓄えた場所だったことでしょう。当時北海をのして歩いていたバイキング達が、これに目をつけないわけはありません。度々の来襲により、修道院も手をこまねいてはいられなくなりました。大切な写本や宝玉で飾られた聖具など、取られては困るあんな物やこんな物を守るため、僧たちはのっぺりと取り付く島の無い円筒を建てました。そしていよいよバイキングが上陸してきた時には、書物や宝とともにこの塔に入り、硬く扉を閉めて立てこもったということです。

高度に装飾的なハイクロスが立つモナスターボイスの修道院にも、このラウンドタワーが建っています。残念ながら今は頭部が損壊していますが、なおも背高なこの塔が、国内最大級のハイクロスに重なり背景としてそびえ立っている姿は、いにしえの時代のアイルランドをほうふつとさせる一幅の絵のよう。歴史好き、ファンタジー好きの人は必見ですよ。

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