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ギネスビールとケグ


アイルランドを象徴するギネスビールですが、実際、アイルランド人のギネスの消費量といったら、並大抵のものではありません。ギネス工場の設備は遠くから見るとまるで石油コンビナートのように巨大かつ複雑ですし、ギネスの宣伝といったらもう、半端ではありません。最近になって日本でも見られるようになった電車を一台占領しての広告はもちろん、車体を塗りつぶしてギネス一色にしてしまうなんて事も、ずっと以前からやっていたようです。アイルランド全国が燃えるサッカーのワールドカップやユーロ大会のシーズンともなると、ギネスの提供するアイルランド代表応援のオーナメントが、パブの天井や壁をにぎやかに埋め尽くし、まるでクリスマスの飾りのよう。

さて、工場で生産されたギネスビールは、専用のケグ(金属製の大樽)で運搬、保管されるのですが、これがけっこう、アイルランドの街の風物にもなっていたりします。ケグを満載したトラックは日常的によく見られますし、ダブリンなどの街中の大きいパブになると、大きくかさばるケグは地下に納められる事が多いようで、ギネスのトラックから次々とバケツリレーのようにして、専用の搬入口から地下室へとケグを収めていく様子が見られることも。その数にはいつも圧倒されっぱなしです。

パブではつきものの喫煙でしたが、現在アイルランドのパブは法律で禁煙です。このギネスのケグにまつわる思い出で面白かったのは、地方の田舎のパブでのこと。地元の人に混ざってまったり飲んでいると、店のバーマンがやってきて、客に立てと言います。おまけに、テーブルのギネスを手に持たされてしまいました。煙草(現在はパブでの煙草は禁止になっていますが、当時はまだOKでしたので)を吸っていた人は、灰皿まで持たされています。何事かとグラスを持って立っていると、バーマンはテーブルの天板をぱかっと取ってしまいました・・その下には、ギネスのケグが。客のテーブルの脚部分が実はケグだったという一幕でした。空になったケグと交換してテーブルは元通りになり、みんなは宴を再開した次第です。こんな素朴さ、適当さが、アイルランドにいると次第に心地よくなっていくのです。

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