情緒ある海路での上陸
アイルランドへの入り方としてもう1つ、これは少し特殊な行き方になるかもしれませんが、もしあなたがイギリス観光を兼ねてのアイルランド旅行を計画しているなら、そして時間に少し余裕があるなら一度経験してみるのも良い思い出になるかもしれないのが、フェリーを使った海路からのアイルランド上陸です。寸暇を惜しんで色々な名所をたくさん見て歩きたいというような人にはお勧めできない方法ですが、人々の文化や歴史に興味があり、土地っ子達のより日常的な世界を垣間見てみたい、という人ならきっと楽しめるでしょう。たとえばイギリスの西の玄関、リバプールを真夜中に発ち、たっぷり時間をかけて進むフェリーは、翌日の早朝にダブリンのすぐ南にあたるダンレアリの港に到着します。その時の感激は、飛行機では決して味わうことのできない情緒あふれるものです。海路でのアイルランド入りには、ロンドン発でバスとフェリーがセットになった便利なチケットもあるので、興味のある人はぜひ調べてみて下さい。
筆者も一度だけですが、海路を使ったアイルランド上陸を試みたことがあります。イギリスでの用事を果たした後、前述のリバプール初の夜行フェリーに乗船し、翌朝にダブリン入りをしたのです。リバプールという町は、先の項でもお話したようにアイリッシュ率の大変高い町で、その理由はアイルランドの辿った苦難の歴史によるものです。アメリカへの移民の中継地でもあり、またとりあえずアイルランドを飛び出した人々のたまり場でもあったリバプールは、決して風光明媚な場所ではありませんし、ビートルズゆかりの地であるという以外、物寂しいぐらいそっけない工業都市で、フェリー乗り場の界隈でも一番目に付くのは巨大なタンクやパイプラインのひしめくコンビナート。ライトアップされた工場群の景色は、それはそれでなかなか壮観で美しいものでしたが、そんなリバプールの港を深夜に発って、一晩かかってアイルランドへと向かうフェリーの乗客がいったいどんな人々なのか、またその船内での驚くべき(?)様子については、次の項でじっくりとお話いたしましょうね。