小さな街の偉大なシンボル、ロック・オブ・キャシェル
【素材そのものが美味しい国】
アイルランド南西部一体の州から成るマンスター地方の中でも、最もダブリン寄りで、唯一全く海の無い内陸の州は、ティぺラリーです。海が無い代わりに、豊かな農地で知られるティペラリーは、美味しい食材を供給する台所としても知られ、チーズなどの乳製品やベーコン、アイルランド中のパブで日常的に飲まれるアイリッシュ・サイダー(リンゴから作られるシードル)の生産地でもあります。少し詳しい人なら、bulmer(ブルマーって呼びます)という銘柄をご存知でしょう、これもティペラリーで生産されています。
先の項でお話したバリマルー・ハウスもそうでしたが、近年、アイルランドでは国を挙げてオーガニック農業に力を入れていることもあり、若い世代の農業経営者たちが誇りを持って新しくユニークな現場を創造している最中です。地元で取れる豊かで安全な素材、そして素朴な家庭料理が何より美味しい・・そんな国になりつつあるアイルランドは素敵です!
【アイルランド観光のシンボル】
さて、このティぺラリー州の真ん中あたりにキャシェルという町があります。とても小さな街ですが、アイルランド有数の観光資源をひとつ持っています。ロック・オブ・キャシェル。「キャシェルの岩」の名のとおり、高さ90メートルという巨大な岩盤の上に、中世の城塞がそびえています。圧倒的な存在感は、どの方角からこの町に近づいても必ず真っ先に目に届き、この町のシンボルであるとともに、アイルランド観光のシンボルにもなっています。
12世紀ごろにマンスター地方の王が建立したとされ、かつては宗教や学問、そして戦の中心としておおいに栄えたというこの遺跡は、アイルランドの守護聖人、聖パトリックがエンガス王に先例を授けたという記念の地でもあります。ケルトの国アイルランドに、土着の習慣を尊重しながら平和な宣教を行ったといわれる聖パトリック。キャシェルには、彼に因んだこんな伝説も残っています。聖パトリックがこの地に教会を立てようとしていたところ、魔王がその上にちょうど飛来。聖人の姿をみてびっくり仰天した魔王は、思わず抱えていた大石を落としてしまいました。それがこの、ロック・オブ・キャシェルの岩なのだそうです。アイルランド観光ガイドにも必ず写真の載る有名なスポットなので、ダブリンからコークへと向かうコースなどに組み入れて立ち寄るのも良いですね。宿泊の予定を入れれば、神秘的にライトアップされた姿を見ることもできますよ。