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アイルランド最古のハイクロスを見に


レタケニーやドニゴールから、イニシュオーエン半島に向かう途中の国境地帯は、内陸に深く食い込んだ入り江と、迫る北アイルランドとの国境とに挟まれた、ごく狭い地域です。一番細いところでは、なんとその幅およそ5kmしかありません。幅5kmのアイルランド共和国をすり抜けて行く間には、南北アイルランド紛争の歴史を背負ったデリー(イギリス式にはロンドンデリーという名ですが、アイルランド人は嫌がります。理由は明らかですね。)のすぐ近くも通ります。

くびれた国境地帯を抜ければ、最北の地までルートは2つ。大西洋側の西ルートをたどると通るのが、イニシュオーエン最大の町バンクラナです。といっても、人口は6000人足らずですが・・。この2つのルートが目指すのは、合流点となるカーンドナの町。最北の岬への拠点に便利な、小さな町です。

カーンドナ・ハイクロスの個性的なわき役たち【最古のハイクロス、カーンドナ・クロスと、最北の岬マリン・ヘッド】
カーンドナは人口2000人に満たない小さな町ですが、歴史的に大変重要な遺跡をひとつ保有しています。アイルランド最古のハイクロスです。ハイクロスは、一般的にケルティック・クロスと呼ばれる、アイルランドやスコットランドに多い特殊な形の十字架ですが、それは墓石ではなく、聖書の出来事などを描いたレリーフや細かい模様で装飾された、本来モニュメント的なもの。

カーンドナのハイクロスは、十字架というより石盤に近いとても素朴な形をしています。素朴ながらも美しい組み紐模様が彫られた十字架の両脇には、剣やハープのような物を抱えた人物、小鳥、魚などが刻まれた2つの石が、お供のように並んでいます。これといって面白くもない小さな石碑ですが、遺跡好きな人、それから仏像や石とかが大好きな人なら、きっとわかる何かがひしひしと伝わってくるはず・・そう、こんな所まで訪れるような人には、たぶんきっと感じる事ができる何かです。

カーンドナからマリンヘッドまでは、15キロほど。岬の突端は、岩と牧草が入り混じった断崖です。モハーやスリーブリーグほどの迫力はないものの、崖下にとどろく波を見ていると、さすがに感慨深い気持ちになってきます。観光化のみじんも見られない素朴すぎるスポットには、お約束の羊達も自由に歩き回っています。素っ気無いくらい何もないところですが、そこがまた良いのです。