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移民の末裔たち

映画「タイタニック」のバックボーンにもなっているアイルランド系移民は、飢饉の被害やイギリスの圧政による貧困から逃れようと、アメリカなどへ数多く渡っていった人々です。1800年代当時、800万ほどが暮らしていたといわれるアイルランドの人口のうち、100万が飢饉で飢え死に、200万はアメリカへ、その後も貧困を苦に続々と国を出る人が続き、人口は約半数の400万人になったまま今に至ります。現在、あの広いアメリカ合衆国の人口の1割を上回る12パーセントもの人々がアイリッシュ系の血筋ということを聞けば、そのすさまじさが分かりますね。

さて。アメリカへと続々移民が移り住んで行く一方、そこまで行き着くほどのお金も無く、とりあえず脱出とばかり海を渡ったなりの人々は、最寄の港町であるリバプールに居つきました。人口のなんと40%がアイルランド系を占めるという、リバプール出身のビートルズも、メンバーの3人までがアイルランド人の血を引いているのです。

アイルランドが最終決戦とも言えるアイルランド独立戦争を経て、念願の独立を果たしたのは1921年。しかし貧しく立ち遅れたアイルランドの地位は、その後もヨーロッパの国々の中で極端に低く、ビートルズが活躍した60年代当時でさえ、イギリスに住むアイルランド人が自らのアイリッシュの血筋を敢えて表に出すことはありませんでした。当時活躍した有名人や文学者、ミュージシャン達の中には少なからずアイリッシュ系の人もいましたが、わざわざ田舎者の商標を掲げることは避けていました。ビートルズのメンバーのうちアイリッシュ系であったジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスンの3人も、そのことを深く意識はしていましたが、1つ2つ歌に表わす以外にアイリッシュのアイデンティティを打ち出したことはありませんでした。でも今にして思えば、彼らが成し遂げた偉業の源のどこかに、芸術に長けた民族の血の存在がなかったとは言い切れないような気がします。