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アランセーターのふるさと、アラン諸島を訪れる


イニシモア島の石垣1930年代に作られた「アラン島の男」という記録映画で一躍有名になったアラン諸島は、貧しかった時代のアイルランドを象徴する、アイルランドの中でも最果ての地。狭い石垣の中で細々とした畑を耕し、木枠に皮を張ったカラハと呼ばれる粗末なボートに乗って、大西洋の荒波の中へ漕ぎ出し漁をする人々の生活を、淡々と綴った映画です。この映画の舞台となった小さな農家は、今もアラン諸島最大の島、イニシモア島に残っています。現在は可愛らしくリフォームされ、観光客を迎えるB&Bになっているこの家に象徴されるように、貧しかったアラン諸島は今や、観光に特化された名所のひとつ。フェリーの発着する中心街や小さな宿屋のパブでは、シーズン中ともなれば夜ごとの伝統音楽のライブで賑わいます。

【謎多き古代の城砦、ドゥン・エンガス】
イニシモア島観光の中でもイチオシのスポットは、ドゥン・エンガスと呼ばれる古代ケルト人の砦跡でしょう。大西洋に向かう100mの断崖絶壁を背に半円形を描く砦跡で、この最果ての地に4000年も前から人が住んでいた事といい、背後が絶壁という砦として大変不自然な立地といい、とても謎の多い遺跡です。

【無数に張り巡らされたアラン島の石垣の秘密とは?】
ドゥン・エンガスの次にこの島で見ておきたいのは、島全体に広がる石垣でしょう。石を積んだだけの素朴な石垣は、アイルランド中いたるところで見ることができますが、アラン島の場合、この石垣でこれでもかというほど細かく区切られた囲い地が大きな特徴で、これが異様に石垣の多い独特の風景を作り出しています。アランの人々が、こんなにたくさんの石垣を積み上げてきたのには、のっぴきならない事情があったからです。土がほとんど無い岩盤だけの島の上で、石を砕き海草と粘土を混ぜながら苦労して土をつくり、狭い石垣の囲い地を無数に作ることで、この大切な土が強い海風によって飛ばされないようにしたのです。アラン名物の無数の石垣は、貧しい島民たちの苦労の結晶ともいえる風景なのです。