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セレブによって広まったブランド無きブランド、クラダーリング


現地では結婚指輪としてもポピュラーのようですゴールウェイ周辺で生まれ、いまやアイルランドを代表する名産品といえば、アラン・セーターでしょう。そして実はもう1つ、この地域を故郷とする世界的に有名な服飾品があるのをご存知ですか?クラダー・リングという特別の図柄をした指輪です。ヨーロッパの中でも田舎とされるアイルランドは、その風土も人々も素朴でモードやファッションからは縁遠いようなイメージがありますが、このクラダー・リングに関しては、各国の王女や映画俳優などのセレブ達がこぞって身につけ、そこから世界へとブレイクしていった経歴を持つ、特別な存在なのです。クラダー・リングの名を知らなくても、王冠を頂くハートを両手で支えている独特の図柄を、どこかで見た人は多いのではないでしょうか。

クラダー・リングの起源については、現在いくつかの説があり、一番もっともらしいものは、ゴールウェイ近郊のクラダー村(現在はゴールウェイ市の一部)出身のジョイスという人が、海賊にさらわれてアルジェリアに奴隷として売り飛ばされた後、ウィリアム王によって助けられ、その感謝を伝えるために、彼の地で得た彫金の技術を用いて指輪を作り献上した・・というもの。どこまで事実なのかは証明されていないようですが、クラダー村の名をもらったこの指輪は、ゴールウェイ付近一帯の人々の地域的なファッションがルーツであった事だけは確かなようです。

クラダー・リングのモチーフになっているハートは愛と真心を、それを支える両手は友情を、そして王冠は忠誠を示すといわれ、指に嵌めた時はその方向に意味が込められるのも特徴です。ハートの向きが指先に向かっている場合は「未婚」や「恋人募集中」、手首に向かっていれば、「既婚」ないし「恋人がいる」という意味を示します。こんな意味深そうなところもまた、クラダーの魅力のひとつなのでしょうね。

アイルランド中にクラダー・リングを作る工房はたくさん存在し、素材やデザインも少しずつ違い、純度の低い銀製の廉価品から、宝石を嵌め込んだ高価なものまで様々です。でもクラダー・リングは全てアイルランドが国としてその商標を保持しており、どれが本家という事はありません。アイルランド産であれば、どれもちゃんとしたクラダー・リングのブランドです。人々の生み出したデザインが受け継がれた大らかな伝統のブランド、それがクラダー・リングなのです。